「内省の手引き」について
「内省」という行為を、「自分のことを知るために、自分自身の内面の観察をしたり思索を深める行為」と定義した場合、そのための方法やアプローチに正解などないし、人それぞれ自分に合ったやり方を見つけたらいいと思う。
この手引きで紹介するのは筆者自身が内省をするために意識していることなので、あくまでも参考としてご活用いただきたい。その「参考」をきっかけに内省に取り組みやすくなっていただけたら嬉しいし、そこから一歩進んでご自身に合うやり方にチューニングしていただけたらさらに嬉しい。
内省のための環境の整え方
筆者が内省する上で、どんな環境を用意しているかをご紹介していきたい。内省は場所を選ばずどこでもできる行為なので、本来、場所を選ぶ行為ではないのだけれど、内省に「深み」を求めたい場合には、環境に配慮することをお勧めしたい。
自宅で内省する環境
自宅で内省する場合は、できるだけ一人になれる環境がいい。自室があるならばそこが一番いいし、難しければ入浴中や入眠前の寝室も比較的一人の時間を確保できる。
自宅で内省する場合の環境づくりのヒント
一人でいられる空間(自室、入浴中、入眠前の寝室)
自室はできるだけ片付けておく。物が少ない方が気が散らない
夜に内省する場合は照明を落とす。間接照明がおすすめ
入浴中は、浴室の照明を落として脱衣所の明かりを灯す
音楽やテレビは消す。音楽に影響されてニュートラルでいられない
デジタルデバイスは身体からできるだけ遠ざける
単純作業の家事をしながら内省してみる(皿洗い、掃除、料理など)
歩きながら内省する
休日の散歩中や、職場までの通勤中、歩きながら内省するのもおすすめ。
歩きながら内省する場合のヒント
できるだけ人や車の通りが少ない道を選ぶ(気を散らさない)
景観がいい道を選ぶ(街路樹など緑がある道や自分の好きな景色)
思考を止めて歩く感触に注意を向けてみる(ふとアイディアが湧くかも)
ゆっくり歩いてみる。意識的にゆっくり歩くことでリラックスできる
自宅最寄駅から一つ前で降りる(歩く距離が長いほど内省向き)
屋外で内省する環境
自宅でなかなか自分の時間が確保できない。通勤中も都会の喧騒を歩くしかない。そんな方にオススメの「内省に適した場所」の見つけ方。
屋外(or 自宅外)で内省するときにおすすめの場所
ちょっと広めの公園(緑とベンチがあるとbetter)
川原や海辺など水のある場所
会社の会議室を一人で使う(窓がある部屋がおすすめ)
図書館や本屋の読書スペース
ソロキャンプで焚き火を見ながら
内省する環境に適した場所の特徴
筆者が考える「内省」とは、自分の感情を観察することを主たる目的としている。感情とは、身体感覚を伴う「情報」なので、できるだけそれ以外の情報や刺激が少ない空間で実施することを推奨したい。
自室や浴室の照明を落としたり、音楽を消したり、スマホやPCを遠ざけたりするのはそのためだ。人工的な光や音は、内省の妨げになるノイズになりやすい。そのため、自宅以外の場所を選ぶ際も、図書館や会議室など、静かな環境を選んだほうがいい。
一方で、面白いことに、自然由来の光や音は内省を促進する材料になる。見渡す限りの自然環境に身を置かないまでも、川の近くで水の流れる音が聞こえたり、公園の緑を眺めたりするだけでも内省の助けになる。
どんな場所にいることが、感情を取り扱いやすいかというのは、人それぞれだと思うので、色々な場所に出向いて、適した場所を見つけてほしい。できれば、日常的に身を置ける身近な場所がいいだろう。
自分に適した環境を見つけることができたら、その場に静かに、穏やかに、ただいることを心がけてみる。感情を深い部分で取り扱う方法については、また別の記事で書くことにする。