ステップ2の「身体観察の準備」の態勢が整ったら、身体の観察はそんなに難しくない。ただし、注意深く観察しなければ表層的な情報しか得られずに終わってしまうので気をつけよう。
身体の観察
身体観察の準備が整ったら、自分の身体を頭の先から足先までの感覚をとらえる態勢が仕上がっている。その状態で、すぐに感情をとらえようとしないほうがいい。強い感情であれば把握は容易だが、日々の内省は必ずしも毎回激しい感情と向き合うわけではない。ささいな、しかし気がかりなことがあってソワソワしているときなどは、その所在が分かりづらい。
身体の違和感の発見
下記のような違和感がある場合は、まずはそれらを解消してからでなければ感情をとらえずらい。
緊張感など筋肉が収縮している感覚があるとき
心拍数が高いとき
その他、不快な生理現象があるとき
緊張感があるときの対応
まず、自分の身体を頭の先から足先まで観察する。余計な力が入っていたり、力みがある部位がないかチェックする。感情は体の奥で感じていることが多いので、緊張感で筋肉が硬直しているとそ奥にある感覚を感じづらい。
力が入っている部位を見つけたら、力を抜く。立ちや座りの状態のときは、頭頂部から体が宙吊りになっているようなイメージを持ってみる。ベッドに横になっているときは、重力にまかせて体が沈み込んでいくようなイメージを持ってみる。
心拍数が高いときの対応
心拍数が高い場合、落ち着いて感情をとらえることが難しい。微細な身体感覚をとらえる上で、心臓の音や振動というのは影響が大きい。ゆっくりと深呼吸を繰り返して、心拍数が落ち着くのを待とう。
入浴後や飲酒後は心拍数が上がりやすいので、時間を置いたほうがいいかもしれない。
その他、不快な生理現象があるとき
ここで説明している技法で身体観察をすると、感覚が鋭敏になるため些細な生理現象に気付きやすい。喉の渇きや尿意などは、一度気にしてしまうと、そちらに気を取られて内省が進まない。そういう場合は、水を飲んだりトイレに行ったりして解消しよう。すぐに解消できそうにない現象、例えば、頭痛や疲労感などに気づいたとしたら、無理に内省を続ける必要はない。
ただ、ひどい疲労感でない場合は、その疲れの感覚が感情を紐解くヒントになることもある。身体のどの部分に特に疲労を感じるか、体全身を観察して特定してみるのも一つの手だ。そして、疲労を感じる部分は筋肉が硬直していることが多いので、部位を特定できたら緊張を緩めてみる。
感情の感覚の所在
身体観察を経て、違和感を解消できると、身体はかなりリラックスした状態になっているはずだ。とらえ難い感情だったとしても、かなりの精度でとらえられると思う。次の記事では、ようやく感情のとらえ方について説明していきたい。