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【内省の手引き】#012 ステップ9 内なる意志にもとづく意思決定

  • 執筆者の写真: 中村義之
    中村義之
  • 1 日前
  • 読了時間: 7分

内なる意志にもとづく意思決定の方法


手放した観念が自分にとって大きなものであるほど、その後の人生やキャリアに大きな変化を生む。


分かりやすい例をあげるなら、「自分が選べる職業は⚪︎⚪︎だけだ」と思い込んでいた人がその制約を取り払ったとしたら、その後に広がる可能性と選択肢の多さに心がおどることだろう。


そのような人生観の転換は大いに喜ばしいことだし、本人のために祝福すべきことだ。しかし、人生というのはよく出来ていて、何かの作用には必ず反作用が発生する。


例えば、観念を捨て去る前の価値観を、家族や大切なパートナーと共有していたとする。自分は内省を通じて自分の世界を広げたのに、周囲はそれを理解してくれない。ともすれば、両者の間に軋轢が生じることもある。


自分自身と向き合って、心に正直に生きようとする人ほど、そのような課題に直面することは多いと思う。


内省の手引き、最終回は観念を捨て去ったあとの意思決定をどのように重ねて、新しい人生やキャリアを切り拓いていくか、その方法について述べていきたい。



意思決定前後に忍耐が必要になるケース


観念を捨て去ったあとに直面する困難にはどのようなケースがあるだろうか。幾つか例をあげてみたい。


  1. 習慣が反射的言動に結びついているケース


何か特定の言葉を他者から投げかけられたときに、発言者には悪意や害意がないにもかかわらず、怒りや悲しみなどの不快な感情を生じせしめる観念だったり「とらわれ」があったとする。


そのような言葉に対して心身が反射的に反応して、頭にカーッと血がのぼったり、傷ついた気持ちになったりする場合は、辛抱強さと忍耐が必要になる。


以前のステップで「感情を感じること」と「感情的な言動におよぶ」ことには明確な違いがあることをお伝えしたと思う。


自分にとって不要な観念を手放す決断をしたとしても、心と体がすぐに新しい価値観に順応できるとは限らない。そのようなイベントが発生したらその都度、心身に起こる変化を注意深く観察して、感情的な言動に移らないように気をつけよう。


次第に慣れていけば、心も体も反応しなくなる。自分の心身を信じて、新しい自分にしっかり適応していこう。


感情的言動にうつらない自分を褒めてあげて、徐々に反射的反応の度合いが減じていくことを確認していくのが成功の秘訣だ。



  1. 大切な人との間で価値観が隔たるケース


前述したように、身近な人間関係で価値観が隔たってしまう場合も困難を生じることがある。


プライベートでは家族やパートナー、仕事では職場の同僚や経営のメンバーなど、お互いの違いをリスペクトし合える関係性や組織体であれば大きな問題は生じないだろうが、必ずしもそういう理想的なケースばかりではないだろう。


新しい自分の価値観に共感をしてもらえないかもしれないし、ともすると否定されたり非難されたりするかもしれない。


このケースは自分だけの変化で完結するものではなく、他者という存在がいるため問題が長期化したり、人間関係や組織が破綻するリスクもはらんでいる。


状況に応じて対応していくしかないが、相手を責めることなく忍耐づよくコミュニケーションを続けるしかない。


経験上、観念を捨て去る前の自分に戻ることはやめておいた方がいいし、心の声に逆らうことはさらなる苦しみを呼ぶことになる。



  1. 新たな挑戦が必要になるケース


冒頭の例にあげたように、観念を取り払って自分の可能性や選択肢が広がること自体は喜ばしいことだが、新しい挑戦には困難がつきものだ。


私自身、会社経営というキャリアを手放して、農業を始めるたことは喜びも大きかったが、その分、険しい道でもあった。


新しい生き方は、慣れるまで困難や挫折を生じる。それは仕方のないことだ。


職業を変えたり、移住したりなどの大きな転換でなくても、新しいスタイルが板につくまでは時間がかかる。


例えば、感情を抑制するように生きてきた人が、感情を分かりやすく表現しようと振る舞うようになったら、周囲の人は急な変化に戸惑うかもしれない。本人も奇異の目で見られることに嫌気がさしてしまうかもしれない。


ただし、悲観することはない。私の経験上、自分で変化を起こした本人が自分らしく生きることを楽しんでさえいれば、周囲はきっと応援してくれる。



意思決定を成功させるコツ


せっかく自分にとって大きな観念を捨てるという決断をしたのだから、その見返りとして大きな果実を獲得してほしいと思う。


自分らしく生きる人が増えれば、自分らしく生きたいと願う人の希望にもなる。


そういう人たちが一人でも増えてくれたら嬉しい。


最後に、新しい人生のステージを成功させるコツを紹介したい。



  1. 応援・支持・理解してくれる人に話す


もっと自分らしく、楽に生きていきたいと願っているのに、周囲から反対されたり、新しい挑戦の難しさに圧倒されたりする。


そんなときに助けになるのが、やはり他者の存在だ。


自分の周りを見渡してみよう。知人・友人の中にきっと、新しい道を歩む背中を押してくれる人がいるはずだ。


自分のメンター的な存在の人に連絡するもよし、同じような価値観を持っていそうな友人に久しぶりに連絡してみるもよし。


もしかしたら意外と身近に応援してくれる誰かがいるかもしれない。



  1. 飾らずに率直に自分を表現する


新しい自分で生きていくことに対して、近しい間柄の人にもしネガティブな反応を示されたら、最善の策は「飾らずに率直に内面を吐露」することだ。


何の脈絡もなく、唐突に変化した自分を表現することは、相手にとって驚き以外のなにものでもないだろう。


そういうときは、何が起きて、何を思って、これからどうあろうとしているかを、自分の言葉で、飾らずに表現するのがいいと思う。


自分の内面と真摯に向き合って、弱さを認めたり、反省したり、心の奥底を語る人の言葉というのは本当に美しい。人の心を打つ。


変化の途上にいるときは、自分自身でさえ、自分の内面で起きている変化を正確に言葉で表現することが難しいだろう。


たどたどしい表現であっても、真摯な告白の美しさが翳ることはない。


自信をもって、勇気を出して、自分の内面の変化のプロセスを伝えてみてはいかがだろうか。


私自身、いつもそうやってきたし、不器用だっただろうけどいつも後悔はない。



  1. 少しずつ、変えていく


映画やゲームの世界と違って、命ある生き物としての人間が変化できるスピードはゆっくりしたものだ。心の内面に関することであれば、なおさら丁寧にゆっくり進むほうが弊害は少ない。


新しい人生に早く進みたいあまり、大胆な変化を起こそうとすると、自分にも周囲に大きな負荷がかかるケースもある。


私はずいぶんとせっかちな性格なので、自分自身もそうだし、周囲も振り回してしまったと反省することも多かった。


人間の内面において、本質的な変化というのはゆっくりじっくり進行するものだと思う。


人生を変えるような劇的なイベントが起きたとしても、心身がついていくのには時間がかかると肝に銘じよう。


時間が経てば確実に変化していく。安心して日々を過ごすのがいいと思う。



大きな観念との訣別は大きな変化を生む


自分の感情と向き合って、自分が身にまとってきた不要な観念を脱ぎ捨て、心の内なる声に従って生きる。


生まれてから死ぬまで、人生の最初から最後まで、何の偏りもなくありのままの自分の心で生きることができたらそれは素晴らしいけれど、生まれついての聖人でないかぎりそんな生き方は不可能だろう。


幼少期から思春期、成人してからも、様々な辛い経験、苦しみを通じて、それらを回避したいがあまり、思考という枠組みを駆使してままならぬ自分の感情に対処する。


その対処がパターン化されて習慣化し、自分の言動に染みつくぐらい不可分な様式として定着すると、それらを自分から取り剥がして原状回復するのは難しい。


見たくないものは見たくないし、感じたくないものは感じたくない。恐怖や不安を生み出す可能性のあるものからは距離を取りたいし、できれば存在しないものとして死角においておきたい。


そのようにして、人は、自分の視野に偏りを設けて無難に生きていこうとする。


当然、「見方」を変えても世界が変わるわけではない。


世界が変わらないかぎり、いつかは見たくないものに直面する。向き合わざるをえなくなる。


そのようなときに、しっかり恐れや不安と向き合って、自分の世界の見方をもとの形に回復していく。


自分が見ないようにしていた死角は森のようなものだ。蛇や猛獣がいるかもしれないが、美しい花や蝶も舞っていたことを思い出そう。


自分の世界を回復するプロセス。


隠していた死角が大きいほど、広がる世界も大きい。


内省という手法を用いて、自分の輝きを取り戻していく方が増えることを心から願っている。




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